2026年シーズン 開幕前スペシャルインタビュー Vol.1

豪州から拓大へ プレーも日本語も磨いた4年

FWリーダー サムエル・オーウェン・ウォーターマン(4年・LO/FL)

196cm・115kgの体格を生かし、拓殖大学ラグビー部でロック、フランカーとしてプレーするサムエル・オーウェン・ウォーターマン。オーストラリアでラグビーを始め、2023年に拓大へ進学した。

来日当初は、言葉や練習環境の違いに戸惑った。4年間を過ごす中で、プレーだけでなく日本語にも自身の成長を感じている。今季はフォワードのリーダーを務めるサムに、大学最後のリーグ戦への思いを聞いた。

友達はサッカー、自分はラグビーへ

ラグビーを始めたのは7歳の頃。自宅近くのクラブに入った。

当時、学校の友達はサッカーをしていた。サムも両親にサッカーをしたいと伝えたが、すすめられたのはラグビーだった。

「最初は友達がみんなサッカーをしていたので、ちょっと寂しかったです。でも、少しプレーしたら、すごく楽しいと感じました」

特に楽しかったのはコンタクトプレー。子どもの頃から周囲より体が大きく、俊敏性には自信がなかった一方、相手と体をぶつけ合うプレーは得意だったと振り返る。

現在はフォワードをつとめるが、12歳頃まではバックス。センターでプレーし、トライも多く挙げた。

「今は絶対フォワードですが、子どもの時はバックスの方が楽しかった。スペースがいっぱいあったので」

12歳頃からフォワードに移り、その後も同じポジションでプレーを続けてきた。

けがの後に訪れた来日の機会

Canberra Grammar Schoolでは6年間ラグビーに取り組んだ。卒業後はシニアのクラブでプレーしたが、けがで競技から離れる時期があった。

本人によると、けがをする前には地域の代表チームにも選ばれていた。プレーできない時期が続き、モチベーションも下がっていた頃、日本でラグビーをする話が持ち上がった。

「最初はどう考えたらいいか分からなかったです。でも、よく考えたら、自分にとっていいチャンスだと思いました。分からないことはいっぱいありましたけれど、行った方がいいと思って」

エージェントからは、日本でプロを目指す可能性についても説明を受けたと振り返る。話を聞いた上で、自ら日本行きを選んだ。

「来る前とは全然違う選手になった」

2023年に拓大へ進学。日本での生活は、思いがけない形で始まった。

「最初の日は病院に行きました。歯がすごく痛かったからです」

言葉の壁もあった。日本語が分からず、英語も思うように通じない。慣れない環境の中、最初の1年は「少し大変だった」と振り返る。

ラグビーでも、オーストラリアとの違いを感じた。

「日本はまず、たくさん走ります。毎日練習することも初めてでした。その中で、すごくレベルアップできたと思います」

特に記憶に残るのが、1年時の夏合宿。

「ずっと頭に残っています。本当に大変でした」

練習を重ねた1年目を終える頃には、「日本に来る前とは全然違う選手になったと思いました」と自身の成長を実感した。

変わったのはプレーだけではない。来日から4年。日本語で行われる練習やチームメートとの会話を重ね、コミュニケーションにも手応えを感じている。

「友達といっぱい話していることが一番です。練習中は全部日本語なので、それも上手くなることにつながっていると思います」

現在は「ほとんど全部分かります。毎年良くなっていると思います」と話す。実際、このインタビューも流暢な日本語で答えてくれた。

まずは自分のパフォーマンスから

今季はFWリーダーを担う。役職に就き、「自分の責任はもっと大きくなった」と感じている。一方で、自らを「あまり話すタイプではない」とも語る。

だからこそ、まずはプレーで示したい。

「毎日の練習ではあまりしゃべっていないですけれど、まずは自分のパフォーマンスから示したい。それがよくできれば、みんなにもいいことを伝えられると思います」

主将の奥田魁については「いいリーダー」と話す。試合中に大きな声を出し、周囲へ働きかける姿が印象に残っている。

「気持ちが入った声をかけてくれる。自分も試合中は集中して声を出しますが、練習ではちょっと弱くなる。そこは自分も頑張ろうと思います」

大学最後のリーグ戦。目標をたずねると、答えは明確だった。

「絶対に1部へ行きたいです」

まずリーグ戦で結果を残し、入替戦へ進む。その先に1部復帰を見据える。

「拓大を離れる前に、それを達成することが最後のゴールです」

自分のどんなプレーを見てほしいかとたずねると、サムは個人ではなくチームへの応援を求めた。

「自分だけじゃなくて、チームを応援してほしいです。これまでの4年間は1部へ行けなかったですけれど、今年は絶対に行けるチームだと思っています。最後まで応援してください」

文・杉田寿子(Lenon) 写真・渡辺周治(Lenon)